定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査 ガイドラインについて

建築物の外壁の安全性・健全性を確認するため、定期報告制度における外壁調査は欠かせないものになっています。従来、外壁のタイルやモルタルの劣化や損傷の確認には、テストハンマーによる打診が主流でした。しかし、近年では赤外線装置を用いた調査、特に無人航空機(ドローン)を活用した赤外線調査が注目を集めています。これに伴い、国土交通省は令和4年1月18日付けで「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」を策定しています。本記事では、この制度の概要と、国土交通省が定めるドローンを用いた外壁調査のガイドラインについて解説していきたいと思います。

ガイドラインの目的

このガイドラインの主な目的は、赤外線装置やドローンを用いた外壁調査を、従来の打診と同等以上の精度で実施するために必要な事項を定め、広く周知することです。適用範囲としては、建築基準法第12条の定期報告制度における外壁のタイル、石貼り、モルタル等の劣化や損傷の状況調査が対象となります。ガイドラインでは、赤外線調査の信頼性を向上させるために、以下のような基準を示しています。

  • 適用範囲の明確化(対象となる建物の条件、調査の適用可否)
  • 調査方法の標準化(適切な測定条件、解析方法の指針)
  • データの評価基準(異常判定の基準、誤判定を防ぐ手法)
  • 無人航空機の活用方法(ドローンを用いた場合の運用ルール)

これにより調査結果のばらつきを可能な限り抑え、建築物の安全向上に資する事を目的としています。

無人航空機(ドローン)による赤外線調査の活用

無人航空機(ドローン)による赤外線調査には以下のようなメリットがありますが、同時に様々な課題があるのも事実です。

【メリット】

  • 高所作業不要で安全性向上:作業員が危険な場所に立ち入る必要がない
  • 短時間で広範囲を調査可能:足場を組む手間が省けるため、時間とコストを削減
  • アクセスが困難な場所の調査が可能:高層建築物や橋梁など、通常の調査が難しい箇所でも有効

【課題】

  • 気象条件の影響(風速や気温、日射の影響を受けやすい)
  • 飛行ルールの遵守(航空法や地方自治体の規制に従う必要あり)
  • データ解析の精度(飛行高度やカメラの設定によって温度分布の正確性が変わる)

ガイドラインでは、これらの課題に対応するための基準や手順が明確化されており、調査の信頼性を確保するための要件が細かく定められています。

赤外線調査の適用条件

タイル等の浮きを間接的に推定するには赤外線装置法が使用されていますが、この調査方法で調査精度を高めるためには、適用条件の把握が極めて重要となります。ガイドラインでは調査対象の外壁材種類、気象条件、撮影角度や撮影距離等の適用条件が挙げられています。仮にこれらの条件を十分に理解しないまま撮影を行った場合、精度向上が期待できず、意味のない調査になってしまう可能性があるため注意が必要です。

打診との併用

ガイドラインでは、赤外線調査の結果に基づき異常が疑われる箇所(相対的変温部)が見つかった場合、必要に応じて打診調査などの追加調査を実施することが推奨されています。これは相対的変温部=浮きの可能性あり、という事は言えても、日の当たり方や室内環境等によって相対的変温部として映ってくる場合もあるためです。

ドローンの安全飛行とリスク管理

ドローンを用いた調査では、安全飛行の確保が最優先事項です。事前調査により、建物の高さや周辺環境、電波状況、障害物の有無などを確認し、飛行計画を策定する事が求められています。また、衝突リスクへの対策として、事前の飛行経路の設定や、必要に応じて係留装置の活用等、安全管理対策を講じることが求められています。

まとめ

ガイドラインは、赤外線調査を用いた外壁診断の信頼性を高めるために制定されています。特にドローンを活用した調査手法が整備されることで、安全性や効率性が向上し、今後の建物維持管理において重要な役割を果たしていく事を期待している内容になっています。ドローン赤外線外壁診断センターはこのガイドライン内容に沿った高品質の外壁調査を提供し、建築物外壁の安全に貢献していきます。ドローンを使用した外壁調査のお問い合わせは、是非ドローン赤外線外壁診断センターにお問い合わせください。