ドローンによる構造物の赤外線調査適用例とその未来

ドローンの飛行性進化と搭載できる小型の赤外線サーモグラフィカメラ(以下、赤外線カメラと呼称)の性能向上、それらを統括するソフトウェアの進化に伴い、赤外線を活用した建築物の調査がメンテナンスの分野で大きな注目を集めています。今回は、構造物向けドローンによる赤外線調査の具体的な応用例、そしてその未来について詳しく解説したいと思います。

構造物への具体的な応用例

1.外壁タイル・モルタル等の浮き検知

構造物へのドローンによる赤外線調査で代表的な用途として、まずタイルやモルタルの浮き範囲検知があげられます。タイルやモルタルの浮き範囲は日射の影響で表面温度が周囲よりも高くなるので、その相対温度差を赤外線カメラにより捉える事で、タイルやモルタルの浮き範囲を短時間で広範囲にわたり、効率的に調査することができます。

2.漏水・含水範囲の検知

外壁のひび割れや接合部からの漏水・含水は、建物内部に深刻なダメージを与える可能性があります。ドローン搭載型赤外線カメラにより、建材表面の水の滲みや含水による表面温度差を撮影することで、間接的に漏水や含水の有無・範囲を推定する事が可能になりました。例えば、雨天翌日に外壁を撮影することで、湿気がたまっている箇所を特定し、目的範囲の絞り込みをしていくようなイメージです。

3.断熱性の評価

未来の展望

ドローン技術と赤外線カメラの進化に伴い、外壁調査の方法はますます高度化していくと予想されます。将来的には、AI(人工知能)と組み合わせることで、データ解析の精度がさらに向上し、一定レベル以上の自動診断が可能になっていくと予想されます。また、3Dモデリング技術との連携により、建物全体の状態を立体的に把握することができるようになることが期待されます。

ドローンによる赤外線調査は、外壁分野における建物メンテナンスと診断を革新する技術です。その高精度、迅速性、安全性、そしてコスト効率の高さから、多くのメリットをもたらすものであると考えています。今後も技術の進化に伴い、さらに多くの応用が可能となり、建築業界における重要なツールとしての地位を確立していくことでしょう。